認知症の医療と生活の質を高める[堺市認知症医療体制]

 わが国の認知症高齢者の数は、高齢化の進展により、今後ますます増加すると見込まれています。今や認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気です。
 厚生労働省では、団塊の世代が75才以上となる2025年を見据え、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現をめざし、「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」(新オレンジプラン)を策定し(平成27年1月)新たな数値目標の更新や施策を効果的に実行するための改訂を行いました。
 堺市においても、医師会、行政、地域包括支援センターなどが協力して、嘱託医と認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センター(浅香山病院、阪南病院)を核とした認知症医療体制の構築を進めています。
 この医療体制の中で、かかりつけ医は患者にとって一番身近な存在です。認知症は早期発見・早期治療が重要であり、かかりつけ医は、診療科に関係なく認知症に関する基礎知識をもち、適切に対応できることが望まれます。われわれかかりつけ医は、本人、家族、あるいはケアマネジャーから、認知症に関する相談や支援を求められることが、今後ますます多くなると想定されます。そのようなときに、認知症への理解をもって対応していただける「認知症のことを相談できるかかりつけ医」=「認知症相談医」が多数必要となってきます。
 「認知症相談医」には、相談以外に @早期段階での発見・気づきA専門医療機関への受診誘導B一般患者として日常的な疾患対応・健康管理C家族の介護負担・不安への理解D地域の認知症介護サービス諸機関との連携などが求められます。
 この「認知症相談医」に、専門科目は関係ありません。認知症に関する一定の知識を持っていただければ、すべての診療科の先生が、認知症の対応をおこなっていただけます。内科以外の先生におかれては、地域包括支援センターへの紹介や、専門医療機関への紹介 、介護情報の提供だけでも結構です。堺市の高齢者が、認知症になっても安心して暮らしていけるよう、「かかりつけ医」として、あたたかく見守っていきたいと思います。
 本サイトの作成には、浅香山病院釜江和恵先生にご協力をいただています。
皆様には、日常診療において本サイトをご活用くださいますようお願い申し上げます。